薬と虚言癖
あー居た居た、コレ渡しゃ良いんでしょ?
「アッハハ邪魔だった?」
「ああ…アンタか」
「そっちのお嬢さんも要るの?」
「…いや、要らねぇよ」
要らないって言葉が自分に向けられたみたいに聞こえた。
其れは思い過ごしだって事くらい知ってるけど。
「あ、其れね、いつもよりちょっとキツめ」
「ああ、悪ぃな…」
なあ、ジン、今度は違う仕事当ててくんない?
こんなオマケ面倒臭ぇよ、邪魔したくねーしな。
「アハハ、アンタらの離縁を願うよ、じゃーな」
「…うるせぇ」
あーあ、また嘘吐いたな、俺。
なあ、ムツキ、本当の事教えてやるよ。
俺はアンタのお兄ちゃんだったんだよ、昔の話だけど。
なあ、荒垣って言ったっけ、本当の事教えてやるよ。
其の薬の半分は砂糖に替えといたんだ、迷惑だろーけど。
なあ、最後にもう一つ、本当の事教えてやるよ。
アンタらがずっと一緒に居られれば、俺も幸せなんだ、笑えるだろ?
ずっと、なんて叶わないんだろーけど、な。
|