其の、理由

どうしていじめるの? ―これは苛めているんじゃないんだよ、ホラ御覧?
だってとってもくるしそうなカオしてるよ? ―そうかな、そうは見えないなあ。
ホラ、ないてる、ホラ、ないてる。 ―違うよ、これは泣いているんじゃなくて、悦んでいるんだよ。
よろこんでる…の? ―そうだよ、返事が出来ない位悦んでいるんだよ。
(よろこんでなんて、いない、それくらい、わかるよ)
でも、ぼくにはくるしそうにみえるよ? ―其れは君の目がおかしいのかも知れないね。
ホラ、また、ないてる、くるしいよね? ―さあもう解ったろう、それとも君もこうなりたいのかい?
ぼくは、こわいけど、こうたいできるなら、 ―ああ、代わってやりたいって言うのかい?
うん、だから、もうやめてあげて、 ―君は優しい子だったんだね、残念だよ。
(ぼくはやさしくなんて、ない、でもみるととても、くるしいから)
おねがい、だから、もう、やめて、あげて、 ―苦しいのは自分だけで良いなんて、君は本当に優しい子だね。
くるしい、でしょ、いたい、でしょ、なかないで、 ―君も同じ目に遭ってみると良い。
ぼくが、かわりに、 ―いいや、代わりじゃない、君は此処じゃないんだよ?
でも、じゃあこのコが、かわいそうだから、 ―なら可哀想なこの子の為に、少しでも役に立てる様にしてあげるからね。


もうやめてよ、おねがいだからもうやめて、 ―自分の立場は解ってるのか?
ぼくは、 ―もうあの子の為に、じゃないだろう?
じぶんが、いきる、ために、 ―そうだ、物分りの良い子だな、綺麗な服を買ってやろう。
きれいなふく。 ―うんと可愛く振舞えば、沢山ご褒美もあげよう。


(じゃあぼくに、じかんをちょうだい、そとにでる、じかんをちょうだい)

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