わらべうた
つきのねどこにおにがきた |
それをみていたいぬがいた |
(月の寝床に鬼が来た 其れを見ていた狗がいた) |
おにがねむったそのあとに |
いぬがでてきてささやいた |
(鬼の眠った其の後に 狗が出て来て囁いた) |
つきにうつらぬそのいぬは |
つれていくよとささやいた |
(月に映らぬ其の狗は 連れて行くよと囁いた) |
かげにもぐったいぬのさき |
くさりをひいたたつがいた |
(影に潜った狗の先 鎖を引いた龍がいた) |
あそびつかれたそのたつは |
みぎめおとしてかえりみち |
(遊び疲れた其の龍は 右目落として帰り路) |
くさりをひいたそのみぎめ |
これかえさんとかえりみち |
(鎖を引いた其の右目 此れ返さんと帰り路) |
それをみていたばけがらす |
つきのまねしてにこやかに |
(其れを見ていた化鴉 月の真似してにこやかに) |
はしにくさりをからめとり |
いとしいとしとたからかに |
(嘴に鎖を絡め取り 愛し愛しと高らかに) |
あああのつきはどこいった |
ああかえりたいもどりたい |
(嗚呼あの月は何処行った 嗚呼帰りたい戻りたい) |
からすついばむそのにくは |
ああかえりたいもどりたい |
(鴉啄ばむ其の肉は 嗚呼孵りたい戻りたい) |
|